2024年1月9日、フランツ・ベッケンバウアー氏が亡くなったという悲しいニュースが届きました。同氏は、サッカーの世界で「皇帝」と称されるほどの偉大な選手であり、監督でもありました。78歳という人生を全うした同氏の死は、サッカー界全体に大きな悲しみをもたらしています。
ベッケンバウアー氏は、西ドイツ代表としてプレーし、1974年のワールドカップでは主将としてチームを優勝に導きました。また、監督としても、1986年のメキシコ大会で再び優勝するという、プレーヤーとしても指導者としてもワールドカップを制覇した数少ない人物の一人です。
同氏のプレースタイルは、現代サッカーに多大な影響を与えました。特に「リベロ」としての同氏のプレーは、後の世代の選手たちに新たな可能性を示しました。守備と攻撃の架け橋となるこのポジションで、同氏はその卓越したビジョンと技術で、チームの勝利に貢献しました。
Embed from Getty Imagesただ、個人的な思い出としては1970年W杯で中盤でプレーした同氏のプレーぶりが脳裏に焼き付いています。肩を脱臼したにもかかわらず、交代選手を使い切っていたために、ピッチに残らざるを得なかったイタリア戦。右肩を固定するために巻かれた包帯姿で懸命にプレーする姿が今も浮かんできます。
カイザーと呼ばれエレガントなプレーぶりが賞賛された同氏でしたが、右肩を包帯で固定された姿で懸命に走り回る姿は優雅とはほど遠いものでした。そこに勝利への強い意志を感じて、胸が熱くなったことを今でも鮮明に覚えています。
フランツ・ベッケンバウアー氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。