2026年FIFAワールドカップ(W杯)開幕まで半年を切る中、チュニジア代表(イーグルス・オブ・カルタゴ)は急ピッチで新体制の構築を進めています。アフリカ・ネーションズカップ(AFCON 2025)での早期敗退を受けたサミ・トラベルシ前監督の解任と、その後任に「国内出身者」を据える方針の背景には、財政的な制約と大会までの時間的猶予のなさが深く関わっています。
前体制の終焉:AFCONでの不振とトラベルシ氏の解任
2026年1月4日、チュニジアサッカー連盟(FTF)はサミ・トラベルシ監督およびテクニカルスタッフ全員との契約を解除したと公式に発表しました。
この決定は、モロッコで開催されたAFCON 2025のラウンド16において、マリ代表にPK戦の末に敗れた翌日に行われました。トラベルシ氏は2025年2月に2度目の就任を果たし、W杯アフリカ予選をグループ首位で通過させる実績を残しましたが、本大会に向けた「準々決勝進出」という連盟の目標を達成できなかったことが解任の直接的な理由となりました。連盟は、長期的な再建と本大会への即応性を両立させるため、契約を合意の上で終了させています。
- 原文リンク: FIFA – Tunisia part ways with Sami Trabelsi(英語)
- 原文リンク: CAF – Tunisia part ways with coach Sami Trabelsi after AFCON 2025(英語)
国内出身監督の優先:財政制約と「スピード」の重視
FTF理事のハミース・アル=ハムザーウィ氏が1月9日に明かした「国内出身監督」への優先方針には、チュニジアスポーツ省との協議内容が反映されています。
報道によると、外国人監督の招聘には月額20万ユーロ(約3,200万円)規模の給与が発生する場合があり、現在の連盟の財政状況や政府の指針に照らして困難であると判断されました。また、6月のW杯開幕まで時間が限られているため、言語の壁がなく、国内リーグや海外組の選手特性を熟知している国内出身者が、チームの団結を即座に図る上で最適であるという結論に至っています。この方針に対し、チュニジアの名将として知られるフォウジ・ベンザルティ氏も支持を表明しています。
- 原文リンク: Al Arabiya – Tunisia to rely on local coach for World Cup(アラビア語)
- 原文リンク: Mosaique FM – Mouîn Chaâbani pressenti…(フランス語)
次期監督の最有力候補:ムイン・シャーバーニー氏の浮上
現在、次期監督の最有力候補として報じられているのは、元エスペランス・ドゥ・チュニス監督のムイン・シャーバーニー氏です。
シャーバーニー氏は、エスペランスを率いてCAFチャンピオンズリーグ連覇を達成するなど、国際舞台での実績も豊富です。現在はモロッコのルネサンス・ベルカンヌで指揮を執っていますが、1月9日の報道によれば、FTFは同氏の招聘に向けた最終調整に入っています。他にカルロス・ケイロス氏やフィリップ・トルシエ氏といった国際的な監督が関心を示しているとの情報もありましたが、現時点では「国内の事情に精通した実力者」として、シャーバーニー氏への一本化が進んでいる模様です。
まとめと展望
チュニジア代表が属するグループFには、オランダ、日本、そして欧州予選プレーオフ・パスBの勝者(アルバニア、ポーランド、スウェーデン、ウクライナのいずれか)が名を連ねています。対戦相手の分析が不可欠な中、指揮官を早期に確定させることは急務です。
FTFは数日中にも専門委員会による最終判断を下すとされており、新監督のもとで3月の国際親善試合から本格的なチーム作りが始まります。日本代表にとっても、チュニジアがどのような指揮官を迎え、戦術的な修正を施してくるかは、グループステージ突破の鍵を握る重要な要素となります。