EURO2024決勝の組み合わせはスペイン対イングランドとなりました。日本時間7月15日の午前4:00にキックオフされるこの両者の対戦の歴史について、スペインのスポーツ紙マルカが振り返っていますので、ご紹介します。
1929年5月15日はスペイン・サッカー界において歴史的な日となりました。この日、スペインは初めてイングランドに勝利し、「パーフィダ・アルビオン(狡猾なイングランド)」を見事に打ち破りました。
イングランドの無敗神話
当時、イングランドは無敵の存在として知られていました。イギリス国内での試合ではスコットランドなどに敗れることもありましたが、国外では負け知らず。イングランド代表は欧州大陸で行われた23試合で22勝1引き分けという驚異的な成績を誇っていました。スペインに到着する前にはフランスとベルギーでそれぞれ圧勝しており、その威信は揺るぎないものでした。
スペイン社会の背景
1929年当時のスペインは非常に不均衡な社会でした。都市部では進歩的な面も見られましたが、少し外れれば時代錯誤な環境が広がっていました。犯罪が日常的であり、新聞の「事件」欄は重要なセクションでした。独裁者プリモ・デ・リベラが闘牛士の馬を保護するよう命じたときも、激しい反発がありました。このような社会背景の中で、サッカーは進歩と見なされながらも暴力が付きまとうスポーツでした。
当時のスペイン・サッカー界におけるイングランドの存在は現在よりも非常に大きなものでした。英語が広く用いられ、シャツはイングランドで購入されていました。監督が今日でも “ミスター “と呼ばれるのは、当時の強いチームには必ず英国人コーチがいたことの名残です。
歴史的な試合
この歴史的な試合は、マドリードのメトロポリターノ・スタジアムで行われました。試合は午後5時に開始され、スタジアムには満員の観客が詰めかけました。イングランドは強力なチームを送り込みましたが、スペインもまた強力なメンバーを揃えていました。
試合開始早々、イングランドが2点を先制しましたが、スペインはその後追いつき、前半を2-2で終えました。後半も激しい攻防が続き、最終的にスペインが4-3で勝利しました。この勝利はスペインにとって歴史的なものであり、初めてイングランドを破った試合として記憶されました。
試合後の影響
この試合の後、スペインとイングランドの両チームのメンバーたちは様々な運命を辿りました。リカルド・サモラは1936年に代表を引退し、その後のスペイン内戦では共和派に追われ、戦後はフランコ政権に抑圧されました。他のメンバーもそれぞれ異なる道を歩みましたが、この試合はスペインサッカー史に残る重要な出来事として語り継がれています。
まとめ
1929年5月15日のスペイン対イングランドの試合は、サッカー界において歴史的な瞬間でした。この勝利は、スペインがサッカーの国際舞台で台頭するきっかけとなり、後のワールドカップやユーロでの成功へと繋がっていきました。