2026年にカナダ・メキシコ・アメリカの3カ国で共催されるFIFAワールドカップ。サッカー王国ブラジルのファンにとって、この祭典は単なるスポーツイベント以上の意味を持ちますが、現地観戦を夢見る人々の前には「最低2,100ドル(約32万円)」という高い壁が立ちはだかっています。
最新の報道から、現地観戦にかかるコストの内訳と、ファンが直面する過酷な現実を紐解きます。
「最低2,100ドル」の内訳:何にお金がかかるのか?
ブラジルから米国(ニューヨーク〜ニュージャージー圏)へ渡航し、ブラジル代表の初戦を観戦する場合の概算は以下の通りです。
| 項目 | 概算費用 | 備考 |
| 往復航空券 | 約950ドル | ブラジル〜米国間の国際線 |
| 宿泊費 | 約450ドル | 3つ星ホテルに2泊 |
| 食事・現地交通費 | 約600ドル | 滞在中の諸経費 |
| 試合チケット | 最低105ドル | 最安値カテゴリを想定 |
| 合計 | 約2,105ドル |
ここで注目すべきは、費用の約3分の2が航空券と宿泊費で占められ、チケット代は全体のわずか5%程度に留まっている点です。ただし、これは今回の試算が「最安値カテゴリ」のチケットを基準としているためです。標準的な席や、より視認性の良いカテゴリーを選択した場合、チケット代が占める比率は大幅に上昇し、総額もさらに跳ね上がることになります。
情報ソース: Los brasileños pagarán al menos 2.100 dólares por el debut de Brasil en el Mundial 2026(swissinfo)
ブラジルの最低賃金「7ヶ月分」という重み
この「2,100ドル」という金額は、ブラジルの現役世代にとって極めて重い負担です。記事では、この金額がブラジルの最低賃金の約7カ月分に相当すると指摘されています。
多くのファンにとって、初戦を現地で応援するだけで半年以上の収入をすべて投じなければならない計算であり、これは単なる観戦料金の問題以上に、北米への「移動コスト構造」が大きな障壁となっていることを浮き彫りにしています。
情報ソース: Los brasileños pagarán al menos 2.100 dólares por el debut de Brasil en el Mundial 2026(swissinfo)
過酷な移動距離:3試合観戦で「最大11,000ドル」も
コストを押し上げる大きな要因は、米国内での広大な移動距離です。ブラジル代表のグループステージ日程は以下の通り予定されています。
- 6月13日:ニュージャージー(対モロッコ)
- 6月19日:フィラデルフィア(対ハイチ)
- 6月24日:マイアミ(対スコットランド)
ニュージャージーからフィラデルフィアは近距離ですが、最終戦のマイアミまでは約1,900kmもの移動が必要です。旅行会社が提供する3試合観戦パッケージは最大11,000ドル(約168万円)に達するケースもあり、複数試合を追うことで移動費が劇的に膨らむ構造になっています。
情報ソース: Los brasileños pagarán al menos 2.100 dólares por el debut de Brasil en el Mundial 2026(swissinfo)
チケット価格の現実と記録的な需要
FIFAは今回、低所得層でもアクセスしやすいよう、約60ドルから購入可能な「Supporter Entry Tier(サポーター・エントリー・ティア)」という安価な価格帯を新設しました。しかし、需要は過去最大規模に達しています。
- 安価な席の設定: チケット代自体は費用全体の一部にとどまるよう配慮されています。
- 記録的な申請数: すでに世界中から5億件を超えるチケット申請が殺到していると報じられており、入手自体が極めて困難な状況です。
情報ソース: FIFA World Cup 2026 new ticket pricing tier(FIFA) Soccer: FIFA receives record 500 million ticket requests for 2026 World Cup(Reuters)
まとめ:2026年大会は「移動のW杯」
今回の試算から見えてきたのは、最安値のチケットが取れたとしても、「インフレにより高騰する北米の滞在費」と「広大な移動距離」が大きなネックであるという事実です。今後、チケット販売の進行や、航空運賃・宿泊価格の変動が、ファンの財布事情をさらに左右することになりそうです。